整形外科医が”五十肩”の治療で効果的な方法を解説

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整形外科で相談可能な”五十肩“の効果的な治療について、この記事をご覧頂き有難うございます。

五十肩“という言葉はテレビ、本や雑誌の広告などで良く見聞きすると思いますが、この病気は医学的には”肩関節周囲炎“と呼ばれています。

五十肩“は首の痛みや肩こりと混同されやすいですが、”休んでいても肩に強い痛みがあり動かせない“という特徴的な症状があります。この症状は、40代後半から60代にかけての年齢層に多くみられる傾向にあり、これが”五十肩“と呼ばれている所以(ゆえん)なのです。

五十肩“による痛みで整形外科を受診する患者さんの中には、

・整骨院で電気治療やマッサージを受けたが、肩の痛みが良くなるどころか返って悪化した。

・他の医療機関でレントゲンやMRIなどの検査を受けたが骨には異常はないと言われ、鎮痛剤の内服薬や湿布薬を処方され服用していたが、未だ痛みが残っており、日常生活に支障がある。

こうした”五十肩“による痛みに悩まされている患者さんが私の外来で多く見かけます。

そこで、こうした悩みを抱えている患者さんの助けに少しでもお役に立てたらと思い、この記事では”五十肩“に関する情報として、

・肩関節の役割と構造について

・”五十肩“が起こるメカニズムとは?

整形外科医が勧める”五十肩“の効果的な治療法について

以上の内容について紹介していますので、もし今あなたが慢性化した”五十肩“による悩みを抱えている、または周囲の人から”五十肩“の相談をあなた自身が受けた場合、効果的な”五十肩“の治療を提供してくれる医療機関選びにご活用下さい。

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肩関節の役割と構造について

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では、まず”五十肩“の原因を知る前に肩関節の役割と構造について、簡単にお話したいと思います。

肩関節には、物を持ち上げたり、腕を前後左右に回転させる等の”腕を自在に動かす役割“と”頭の重みを受けながら重たい腕を支える役割“があります。この関節の働きが障害されると、腕を挙げたり、重さのある物を持ち歩いたりする動作に支障をきたします。

こうした大切な役割を担っている肩関節には、骨と靭帯の他に様々な組織が存在しています。五十肩に関する代表的な組織として、腱板滑膜包関節包・滑膜・関節液があります。

板(けんばん)
肩関節は、主に肩甲骨(けんこうこつ)と上腕骨(じょうわんこつ)で構成されています。この2つの骨をつないでいるのが腱板(けんばん)と呼ばれる筋肉の束になります。

この腱板は年齢と伴い衰え血流の低下を招いたり、肩の酷使あるい外傷などによって、ダメージを受けたり部分的に切れたりすると炎症が起こります。

峰下滑液包(けんぽうかかつえきほう)
肩甲骨の背側にある肩峰(けんぽう)と上腕骨の間には肩峰下滑液包(けんぽうかかつえきほう)という組織が存在します。この組織は肩関節の動きをスムーズにさせる働きがあり、肩のクッション材のような役割をしております。

この肩峰下滑液包に炎症が起きると、腫れて厚くなることがあります。すると、その周辺の組織と接触し痛みを引き起こしてしまいます。

腕二頭筋(じょうわんにとうきん)の腱
 二の腕にある、力こぶをつくる筋肉が上腕二頭筋(じょうわんにとうきん)です。この上腕二頭筋の先にある腱に炎症が及ぶと、肩の前面に痛みが生じます。

節包・滑膜・関節液
関節包は文字通り、関節を包む袋状の組織で、この組織と骨の間に存在するスペース(いわゆる関節腔)に関節液が充満しています。

関節液はヒアルロン酸をを主成分としており、透明で粘り気がある液体です。この液体は、関節がスムーズに動くための潤滑油としての役割を果たしており、別名”滑液(かつえき)“とも呼ばれております。また、血管が通っておらず栄養を直接取り込むことができない関節軟骨へ栄養を与える働きもしています。

滑膜は関節包の内面を覆う組織であり、前述した関節液を作ると同時に古くなった関節液を吸収して、関節液量のバランスを調整しています。

“五十肩”が起こるメカニズムとは?

肩関節は加齢に伴う変化、外傷による刺激等による影響を受けると、肩関節の関節包に存在する滑膜に炎症が起こります。

その結果、その関節包は硬くなってしまい肩の動きが制限されてしまいます。

また、この炎症が周囲の腱板・滑液包を経由して筋肉へ広がると、その筋肉が緊張し縮みます。この状態を”筋収縮“といいます。

筋収縮の状態が続くと、その筋肉は血行不良となり酸欠状態に陥ります。

この酸欠という危機的状況に反応して、血液中から発痛物質となる”ブラギニン”が血管外へ放出されます。

この発痛物質が知覚神経を興奮させ、痛みとして脳へ伝わるのです。

これが、”五十肩“が生じる発症メカニズムになります。

整形外科医が勧める”五十肩”の効果的な治療法について

ここまでの所で、”五十肩”がどのような形で生じるのかを理解して頂けたかと思います。

では、肩の痛みを良くしていくためには、どのような対処が適切で、どのような治療が効果的なのでしょうか?

整形外科の観点から、この辺りの事についてお話したいと思います。

まず”五十肩“の行うべき対処法は急性期慢性期では異なります。

五十肩“を発症したばかりの急性期では肩関節部の炎症が強く、激しい痛みが特徴であるため、安静が第一となります。

そのため、下記の事を行う必要があります。

・無理に肩を動かしたり、重いものを持つことは避ける

・就寝時、痛みのある肩を下にしないようにする
 夜間仰向けになって寝ていると、肩の痛みが強くなる傾向があります。その為、柔らかい枕やクッションなどを痛みのあるほうの肩の下に敷いて高さを確保すると痛みが和らぎます。

・肩に熱をもったり腫れがある場合は冷やす
 肩に炎症が起こると、肩が赤く腫れ熱をもつことがあります。この場合は、アイスノンを用いて肩周りを冷やし肩の熱をとりましょう。アイスノンを使用する際は、皮膚へ直接当てると凍傷(やけど)してしまうことがあるので、必ずタオルにくるんで使うようにしましょう。また、湯船につかり体を温めることは控えましょう。

一方、肩の痛みが2週間を過ぎた慢性期では、急性期に比べ痛みが鈍くなってきますが、肩関節が固まり肩を動かせる範囲が制限されてきます。
そのため、この時期では下記のような対処を行い、可能な限り肩の動きをを元の状態にまで回復させるように努めていきます。

・筋肉を温めてほぐす
 肩関節周辺の筋肉に存在している筋硬結とその周辺を温めてほぐし、筋肉の緊張をとり血流を促しましょう。筋肉を温める際は、湯船につかったり、ドライヤーの温風をかけるといった事を行うとよいでしょう。

 筋肉をほぐす際は、テニスボールを筋硬結部へ当てて転がすと良いです。くれぐれも、手で強く揉んだり、強く指圧しないようにして下さい。このような行為は筋肉にダメージを与えるとともに、筋肉の緊張を強めてしまうので、余計に膝痛の悪化を招いてしまいます。

 但し、患部に熱をもち腫れがある場合は、患部に生じている炎症が周囲へ広がり痛みを悪化させてしまうため、筋肉を温めてほぐす事は控えるようにしましょう。

・肩を積極的に動かしていく
 痛みを感じている肩を動かす方法として「振り子運動」があります。これは、痛みを感じている側の手に500g~1kg程度の重さの物(例えば、水が入っているペットボトルやアイロンなど)を持ち、反対側の手を机などにつきます。その状態で、腰をかがめて前後や左右にゆっくりと腕を振っていく運動です。この運動を行う事で、肩周辺の筋肉をストレッチさせることができます。

こうした対処を、整形外科での治療と併行して行うと良いです。

次に、整形外科で行う”五十肩”の効果的な治療を紹介したいと思います。

・関節内注射
 激痛で肩が動かせないケースでは、肩関節内で明らかに炎症が生じているため、ステロイドを加えた局所麻酔薬を肩関節内へ注射します。このステロイドは炎症を抑えるのには、とても有効な薬です。特に、肩に熱をもったり腫れがある場合は、滑膜に炎症をきたしている可能性が高いため、この注射を行うと痛みが激減する事が多いです。

・トリガーポイント注射
 関節内注射を何度か行っても、肩の痛みが十分に取れないケースをしばしば、みかけることがあります。この場合は、前述した筋硬結による痛みの可能性が高いため、この部位を探し、トリガーポイント注射を行う必要があります。

 この注射は、痛みの引き金となっている”トリガーポイント“へ直接局所麻酔薬を注入する方法です。この注射を行うことで、筋肉の”けいれん”が治まり血流が良くなる事で、痛みが軽減されるのです。

 実際に、この注射を受けた患者さんから「痛みを感じていた場所がポカポカしてきて、肩の痛みがウソのように軽くなりました。」「夜間肩の痛みが気になり眠れなかったのが、ほとんどなくなり良く眠れるようになりました。」という喜びの声を頂く事が多いです。

・温熱療法
 肩に熱をもったり腫れたりしていない場合は、ホットパック、マイクロ波や超音波を用いた”温熱療法“を筋肉に対して行い、筋肉の血流を促すとともに緊張を取り除いていきます。

 通常、この”温熱療法“は、これ単独では肩の痛みを軽減するのには不十分なため、前述したトリガーポイント注射と合わせて行う事が多いです。

 上記に挙げました治療は、五十肩を認めて間もない急性痛の時には、とても有効なのですが、慢性痛に移行した、あるいは慢性痛が残っているケースでは不十分な事が多いです。慢性痛の場合には、痛みを感知する脳、脊髄や交感神経へアプローチする必要があり、下記のような治療も合わせて行います。

・脳における痛みの感受性をコントロール
 抗うつ薬抗てんかん薬抗不安薬が有効とされています

・交感神経の働きを抑える
 局所麻酔薬の注射や遠赤外線の照射による星状神経節ブロックを行うことで、交感神経の興奮が抑えられます。その結果、筋肉の緊張が少なくなり、自律神経の働きも整えてくれます。

以上が、”五十肩“に効果的な治療法になります。

五十肩“による痛みでお悩みの方は、上記に挙げた治療法を是非参考にしてみて下さい。

この他にも整形外科に受診される患者さんに多い症状に対する治療法も下記にご紹介していますので、興味がある方は是非お役立て下さい。

整形外科医が”膝痛”の治療で効果的な方法を解説

整形外科医が”腰痛”の治療で効果的な方法を解説

整形外科医が肩こり治療で効果的な方法を解説

この記事を最後までご覧頂きありがとうございました。

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