整形外科医が”膝痛”の治療で効果的な方法を解説

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整形外科で相談可能な”膝痛“の効果的な治療について、この記事をご覧頂き有難うございます。

膝の痛みを抱えている人の多くは、階段や坂道の昇り降りが辛い、立ち上がる動作や歩いている時に痛みが出たり、あるいは正座ができないといった悩みをお持ちではないでしょうか?

そんなお気の毒な患者さんのお役に立てたらと思い、この記事では”膝痛“に関する情報として、

・膝関節の役割と構造について

・”膝痛“が起こるメカニズムとは?

整形外科医が勧める”膝痛“の効果的な治療法について

以上の内容について紹介していますので、もし今あなたが慢性化した”膝痛“による悩みを抱えている、または周囲の人から”膝痛“の相談をあなた自身が受けた場合、効果的な”膝痛“の治療を提供してくれる医療機関選びにご活用下さい。

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膝関節の役割と構造について

膝関節の基本構造

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まず”膝痛“の原因を知る前に膝関節の役割と構造について、簡単にお話したいと思います。

膝関節には、“体重を支える役割”“脚(足首から骨盤まで)を動かす役割”があります。
この関節が障害されると、しゃがんだり、歩いたり、階段の昇り降りといった動作で悪影響を及ぼします。

こうした大切な役割を担っている膝関節には、骨以外に様々な組織が存在しています。
代表的な組織として、軟骨半月板関節包・滑膜関節液靭帯があります。

軟骨
 太ももとスネの骨同士が接触する部分を覆っている組織であり、コラーゲンが主成分でスポンジのような構造をしています。
ゴムのような質感があり、骨と骨同士が直接ぶつかり合うのを防ぐことで、膝がスムーズに動くことを助けています。

半月板
 膝関節の内・外側に存在している三日月型の組織で、膝関節を安定させる働きと、ジャンプして着地した時に膝に加わる大きな衝撃をやわらげる役割を担っています。

関節包・滑膜・関節液
関節包は文字通り、関節を包む袋状の組織で、この組織と骨の間に存在するスペース(いわゆる関節腔)に関節液が充満しています。

 関節液はヒアルロン酸をを主成分としており、透明で粘り気がある液体です。この液体は、関節がスムーズに動くための潤滑油としての役割を果たしており、別名”滑液(かつえき)“とも呼ばれております。また、血管が通っておらず栄養を直接取り込むことができない関節軟骨へ栄養を与える働きもしています。

滑膜は関節包の内面を覆う組織であり、前述した関節液を作ると同時に古くなった関節液を吸収して、関節液量のバランスを調整しています。

・靭帯
太ももとスネの骨同士をつないで、膝の動きをコントロールし安定させる役割があり、全部で4本存在しています。

 

 

“膝痛”が起こるメカニズムとは?

まず膝痛関節内関節外で生じる2つのタイプに分けることができます。

関節内で起きる膝痛には、少なくとも”滑膜由来の痛み“と”骨壊死・骨折による痛み“の2種類が存在します。

1.滑膜由来
 過度に膝を使ったり、膝を支える筋肉の筋力低下や脚の変形(O脚、X脚)などによって、太ももとスネの骨同士の衝撃が強くなると、軟骨が徐々に剥がれたり削り落ちていきます。その際に生じた細かい”軟骨のかけら“は関節液内を漂い辿りついた滑膜を刺激します。

 この”軟骨のかけら“を滑膜は異物として認識し、体内から排除しようと異物反応が起こります。すると、滑膜から免疫反応に関わる物質”サイトカイン“や白血球、リンパ球を含む関節液が吸収する以上に多く作られてしまいます。

 この”サイトカイン“という物質は、滑膜を刺激し痛みの元となる炎症を引き起こしたり、関節液量のバランスが崩してしまいます。すると、滑膜組織が異常に増殖して腫れあがる”関節リウマチ“になったり、膝に関節液が溜まる”関節水症“が起きるのです。

 軟骨が磨り減ってくると、太ももとスネの骨の間の隙間が狭くなっている様子を単純X線写真で確認することができます。X線では軟骨は写らないため、このように写るのです。

2.骨壊死・骨折による痛み
 軟骨の弾力性の低下に伴い太ももとスネの骨同士の衝撃が強くなり、骨が破壊されていくことで痛みが生じます。このケースではMRI検査を行うことにより、確定診断をすることができます。

このようなメカニズムで生じる膝痛はたいてい画像検査で原因を特定できるのですが、画像検査だけでは痛みの原因を特定できないものも存在します。

例えば、膝痛の患者さんで他院の整形外科を受診し、単純X線写真やMRI検査まで行ったが骨にも軟部組織にも異常な所見を指摘されず。とりあえず、関節内注射・理学療法や消炎鎮痛剤などで治療を受けたが、ほとんど効果がなく困り果てているケースです。

この記事を読んで下さっている読者の中にも、このような悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか?このような膝痛は決して珍しいことではなく、私も日々の診療で度々遭遇します。

では、このような膝痛はどこに原因があるのでしょうか?

それは、一言で言えば、筋肉に出来た”筋硬結“に尽きるでしょう。そして、この”筋硬結“による痛みが関節外で生じる膝痛ということになるのです。

筋硬結“とは、いわゆる”筋肉のしこり“であり、筋肉がこわばり硬くなったものです。この”筋硬結“が痛みの引き金になっていることから、”トリガーポイント“とも呼ばれています。

3.筋硬結による痛み
 このタイプの膝痛では、たいてい太もも、スネやお尻の筋肉に”トリガーポイント“が存在しています。その為、膝関節や軟骨の異常ではないかと、この膝痛に対して湿布を貼ったり、関節内注射を行っても痛みは軽減しないことが多いのです。

 膝を支える筋肉を過度に動かしたり、同じ姿勢を長時間続けたりすることで、その筋肉に”けいれん”が起こり硬くなることで、この”トリガーポイント“が出来てしまうのです。

 ただ実際には、膝痛の患者さんを関節内と関節外のタイプに明確に分類できないケースもあります。このようなケースでは、たいてい両者が併発している事が考えられます。

 

整形外科医が勧める”膝痛”の効果的な治療法について

ここまでの所で、膝痛がどのような形で生じるのかを理解して頂けたかと思います。

では、膝の痛みを良くしていくためには、どのような対処が適切で、どのような治療が効果的なのでしょうか?

整形外科の観点から、この辺りの事についてお話したいと思います。

まず適切な対処法としては、

無理に歩いたり運動したりしない
 膝の痛みを我慢して無理に歩いたり運動したりすると、膝に負担を強いられるため、更に痛みが悪化してしまいます。外出をする際は、市販のサポーターを膝に着用することで、痛みをやわらげることができます。階段の昇り降りや正座は特に膝へ負担がかかりますので禁物です。

膝に熱をもったり腫れがある場合は冷やす
 膝に炎症が起こると、膝が赤く腫れ熱をもつことがあります。この場合は、アイスノンを用いて患部を冷やし熱をとりましょう。アイスノンを使用する際は、患部へ直接当てると凍傷(やけど)してしまうことがあるので、必ずタオルにくるんで使うようにしましょう。また、湯船につかり体を温めることは控えましょう。

筋肉を温めてほぐす
 太ももやスネの筋肉に存在している筋硬結とその周辺を温めてほぐし、筋肉の緊張をとり血流を促しましょう。筋肉を温める際は、湯船につかったり、ドライヤーの温風をかけるといった事を行うとよいでしょう。

 筋肉をほぐす際は、テニスボールや棒を筋硬結部へ当てて転がすと良いです。くれぐれも、手で強く揉んだり、強く指圧しないようにして下さい。このような行為は筋肉にダメージを与えるとともに、筋肉の緊張を強めてしまうので、余計に膝痛の悪化を招いてしまいます。

 但し、患部に熱をもち腫れがある場合は、患部に生じている炎症が周囲へ広がり痛みを悪化させてしまうため、筋肉を温めてほぐす事は控えるようにしましょう。

こうした対処を、整形外科での治療と併行して行うと良いです。

次に、整形外科で行う膝痛の効果的な治療を紹介したいと思います。

関節内注射
 滑膜由来の膝痛では、ステロイドを加えた局所麻酔薬を膝関節内へ注射します。このステロイドは炎症を抑えるのには、とても有効な薬です。特に、膝に熱ももったり腫れがある場合は、滑膜に炎症をきたしている可能性が高いため、この注射を行うと痛みが激減する事が多いです。

免荷
 骨壊死・骨折による膝痛の場合、膝に体重がかかっている状態では前述した関節内注射を受けても、痛みが良くならない事がほとんどです。この場合は、松葉杖を用いて少なくとも1ヶ月間は免荷(体重をかけない状態)を行う必要があります。なぜ、1ヶ月間なのかと言いますと、骨が再生されるのにはそのくらい期間が必要だからです。

 そのため、このケースでは”膝にサポーターを着用して歩くこと。リハビリして筋力をつける。”といった事は、骨の状態を悪化させてしまうので禁物です。

トリガーポイント注射
 関節内注射を何度か行っても、膝痛の痛みが十分に取れないケースをしばしば、みかけることがあります。この場合は、前述した筋硬結による痛みの可能性が高いため、この部位を探し、トリガーポイント注射を行う必要があります。

 この注射は、痛みの引き金となっている”トリガーポイント”へ直接局所麻酔薬を注入する方法です。この注射を行うことで、筋肉の”けいれん”が治まり血流が良くなる事で、痛みが軽減されるのです。

 実際に、この注射を受けた患者さんから「痛みを感じていた場所がポカポカしてきて、膝の痛みがウソのように軽くなりました。」「今まで歩き方を忘れるくらい膝の痛みが続いていましたが、痛みが軽くなり足の力も入りやすくなりました。」という喜びの声を頂く事が多いです。

温熱療法
 膝に熱をもったり腫れたりしていない場合は、ホットパックマイクロ波超音波を用いた”温熱療法“を筋肉に対して行い、筋肉の血流を促すとともに緊張を取り除いていきます。

 通常、この”温熱療法“は、これ単独では膝痛を軽減するのには不十分なため、前述したトリガーポイント注射と合わせて行う事が多いです。

 上記に挙げました治療は、膝痛を認めて間もない急性痛の時には、とても有効なのですが、慢性痛に移行した、あるいは慢性痛が残っているケースでは不十分な事が多いです。慢性痛の場合には、痛みを感知する脳、脊髄や交感神経へアプローチする必要があり、下記のような治療も合わせて行います。

脳における痛みの感受性をコントロール
 抗うつ薬抗てんかん薬抗不安薬が有効とされています

交感神経の働きを抑える
 局所麻酔薬の注射遠赤外線の照射による星状神経節ブロックを行うことで、交感神経の興奮が抑えられます。その結果、筋肉の緊張が少なくなり、自律神経の働きも整えてくれます。

以上が、”膝痛“に効果的な治療法になります。

膝痛“による痛みでお悩みの方は、上記に挙げた治療法を是非参考にしてみて下さい。

この他にも整形外科に受診される患者さんに多い症状として、”腰痛の効果的な治療法“もご紹介していますので、興味がある方は是非お役立て下さい。

この記事を最後までご覧頂きありがとうございました。

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