
整形外科で相談可能な”むち打ち症“の効果的な治療について、この記事をご覧頂き有難うございます。
“むち打ち症“という言葉を皆さんは、どこかで聞いた事はあるのではないでしょうか?
この用語を聞いたことがある人の中には、”打ち身”や”捻挫”と混同されている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
“むち打ち症“とは、主に自動車の追突、衝突、急停車等によって頭が鞭(むち)のように過度に動かされることによって、首の筋肉にダメージが生じたために起こる症状を総称したものです。
頭痛・肩凝り・手足のしびれ・めまい・耳鳴りなどの症状を認めることがあります。
“むち打ち症“は,実は正式な傷病名ではなく、医学的には「頸椎捻挫」「頸部筋挫傷」「外傷性頸部症候群」などと呼ばれています。
上記に挙げた傷病名の中でも、“頚椎捻挫“は首の筋肉以外にも骨と骨をつなぐ関節周辺にある靭帯という組織にもダメージを受けた状態を指します。
“むち打ち症“による痛みで整形外科を受診する患者さんの中には、
・整骨院で電気治療やマッサージを受けたが、首から肩にかけての痛みが一向に良くならない。
・他の医療機関でレントゲンやMRIなどの検査を受けたが骨には異常はないと言われ、鎮痛剤の内服薬や湿布薬を処方され服用していたが、未だ痛みが残っており、日常生活に支障がある。
こうした”むち打ち症“による痛みに悩まされている患者さんが私の外来で多く見かけます。
そこで、こうした悩みを抱えている患者さんの助けに少しでもお役に立てたらと思い、この記事では”むち打ち症“に関する情報として、
・”むち打ち症“による痛みが生じるメカニズム
・”むち打ち症“の特徴について
・整形外科医が勧める”むち打ち症“の効果的な治療法について
以上の内容について紹介していますので、もし今あなたが”むち打ち症“による痛みを抱えている、または周囲の人から”むち打ち症“の相談をあなた自身が受けた場合、効果的な”むち打ち症“の治療を提供してくれる医療機関選びにご活用下さい。
“むち打ち症”による痛みが生じるメカニズム
自動車の追突、衝突、急停車等によって首に強い衝撃を受けた際に、その衝撃から首の筋肉、骨、血管や神経を守るために筋肉が硬くなり関節の動きが悪くなります。
筋肉が硬くなることを”拘縮(こうしゅく)”といいます。
この筋拘縮が起きる仕組みと痛みが生じるメカニズムについて詳しくお話しましょう。
筋肉の拘縮には、筋肉を構成している筋繊維に存在する”筋紡錘“が関与しています。
“筋紡錘“には筋肉の伸び縮みをモニターするセンサーがあり、筋肉を守る安全装置の役割があります。
筋肉が過度に伸ばされると、この”筋紡錘”は脊髄という場所へ信号を送り筋肉へ縮こませるように司令を出します。
この司令が脊髄を経由して筋肉へ届くことで、筋肉が縮むのです。
この一連の流れのことを”伸張反射”といいます。この反射が起こらないと、筋肉が過度に伸ばされることで、切れてしまうのです。
このように伸張反射によって筋肉が切れることから守ってくれる”筋紡錘”ですが、筋肉へかかる衝撃の強さや持続時間の長さなどの条件によって、筋肉が縮み緊張した状態が続き、元の状態に戻らなくなることがあります。
この状態が続くと、筋肉が固まってしまい”拘縮“に陥るのです。
拘縮をきたした筋肉は、その筋肉自体への血流が滞り酸欠状態に陥ります。
この酸欠という危機的状況に反応して、血液中から発痛物質となる”ブラギニン”が血管外へ放出されるのです。
この発痛物質が知覚神経を興奮させ、痛みとして脳へ伝わるのです。
これが、”むち打ち症“がもたらす痛みが生じるメカニズムになります。
“むち打ち症”の特徴について
では、”むち打ち症“になると、痛みはどのような経過を辿る事が多いのでしょうか?
これには2つのパターンに大きく分ける事ができると思います。
1)事故直後や事故当日より痛みを認める
2)事故当日から数日間経過してから痛みが出てくる
1)の場合は、首周辺の筋肉と靭帯にまでダメージを受けた人に多く見られます。首を少し動かしただけでも強い痛みを訴えられる方が多いのが特徴です。
また、項(うなじ)から肩甲骨の内側までの領域にある特定の筋肉部位で炎症が起こることで、その部位が腫れていて、触ると熱があり瞬時に痛みを訴える方が多いです。足首をくじいたり、突き指した時と同じ状態になります。すなわち筋肉の局所炎症に伴う急性痛が、1)のケースでは主体になります。
2)の場合は、浅い所より深い所に存在する筋肉でダメージを受けていることが多く、痛みの引き金となっている部位を探し当てるのが難しいことがあります。痛みの程度は上記1)の場合よりも弱く、項(うなじ)から肩、背中へかけて広い範囲で疼く(うずく)ような鈍い痛みを訴える方が多いです。すなわち筋肉の緊張と拘縮を主体とする慢性痛が、2)のケースでは主体になります。
また、この慢性痛にも近い疼く(うずく)痛みと共に”だるさ”、”めまい”や”眠れない”と言った不快感を訴える方を、2)のケースでは多く見かける事があります。
ただ実際には、“むち打ち症“の患者さんを上記の2つのパターンに、はっきり分類することが難しいというのが私の印象です。
私の今までの経験上、“むち打ち症“の患者さんの大部分では筋肉の炎症と拘縮が同時に起こり、急性痛と慢性痛が混在していると思われるからです。
整形外科医が勧める”むち打ち症”の効果的な治療法について
今までのお話で、”むち打ち症“は筋肉や靭帯のダメージによって痛みを始めとした様々な症状が発生することが理解して頂けたかと思います。
では、もしあなたが交通事故に遭遇し”むち打ち症“になった場合、どのような対処が適切で、かつ効果的なのでしょうか?
整形外科の観点から、この辺りの事についてお話したいと思います。
まず交通事故に遭遇したら、何はともあれ病院をすぐに受診しましょう。夜間、休日であろうと構いません。
間違っても直ぐに整骨院には行くことは、おすすめしません!
事故直後に急性痛を強く認めた患者さんが、先に整骨院を受診して電気治療やマッサージを受けたけれども、痛みが軽くなるどころか、かえって痛みが悪化して整形外科を受診するケースを度々みかけるからです。
急性痛がある状態というのは、ダメージを受けた筋肉に炎症が起こっているわけですから、温めたり、筋肉をほぐして血流を促す事をしてしまうと、余計に炎症が広がってしまうのです。そうなると、痛みの程度が増すと共に範囲も広くなるので、このような行為は痛みを和らげるどころか、患者さんにとって拷問に近いものがあるのです。
急性痛の際に優先すべき事は、可能な限り痛みを抑えてもらうことです。
痛みを抑える治療と言っても、私は”痛み止めの薬を飲んだり、湿布薬を処方してもらうだけで大丈夫ですよ”と言っている訳ではありません。
痛み止めの薬を飲むことで、薬の成分が血液により全身に送られても、ダメージを受けた部位に集中して薬の効果が発揮される訳ではないので、これだけでは痛みを抑えるのには十分な効果が得られないのです。
実際に、事故当日に強い首の痛みを認め受診した整形外科で処方された痛み止めの薬を飲んだけれども痛みが十分に治まらず、翌日に再び受診してくる患者さんも割りと多く見かけます。
そこで、整形外科医である私がオススメしたい治療が、トリガーポイントブロックです。
これは、筋肉内にある痛みの引き金となっている部位へ局所麻酔薬を注射をする方法です。注射と聞くと抵抗がある人もいるかもしれませんが、この注射で使用する針は細いので、痛みを訴える患者さんは少ないで御安心下さい。ちょうど鍼治療と似たような感じです。
また局所麻酔薬も副作用が少なく安全性が高いので、妊婦さんや高齢者の方でも安心して使用することができるのです。
実際に私も多くの患者さんに、このトリガーポイントブロックをしてきましたが、注射をうけた直後から辛い痛みから開放されて、驚き、喜びと感謝の気持ちを露わにしながら診療室を後にする方がほとんどです。
しかし、残念ながらこのトリガーポイントブロックに理解を示さない整形外科医が少なからずいらっしゃいます。その場合は、ペインクリニックへ相談しましょう。
また、この治療を早期より受けて2~3週間経っても痛みが完全に消えないケースもあります。
このようなケースでは急性痛から慢性痛へ移行しており、痛みを感知する脳、脊髄や交感神経へアプローチする必要があります。
・脳における痛みの感受性をコントロール
抗うつ薬、抗てんかん薬や抗不安薬が有効とされています
・交感神経の働きを抑える
局所麻酔薬の注射や遠赤外線の照射による星状神経節ブロックを行うことで、交感神経の興奮が抑えられます。その結果、筋肉の緊張が少なくなり、自律神経の働きも整えてくれます。
また慢性痛の状態では、上記の治療と併行して温熱療法やリハビリを行うと、更に痛みが軽くなることが期待できます。
以上が、”むち打ち症“に有効と思われる治療法になります。
“むち打ち症“による痛みでお悩みの方は、上記に挙げた治療法を是非参考にしてみて下さい。
この記事を最後までご覧頂きありがとうございました。
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